興味の射程距離―yomoyomo
※inflorescencia=inf.
質の高い文章ってなんだろう?
inf. まずは質の良い文章をどう定義しているか、という点について、お聞かせください。
yomoyomo まず第一にリーダビリティがあることです。ちゃんと最後まで読ませないことには仕方がありませんから。
inf. なるほど
yomoyomo あるミュージシャンが「良い曲」と「素晴らしい曲」を定義していまして。「良い曲」とは、それを聴いてリズムを取りたくなったり、恋人と楽しいことをしたくなるようなもの。一方で、「素晴らしい曲」とは、それを聴いて警官をなぎ倒し、街に火をつけたくなるようなものだそうです(笑)
inf. ははは!それは秀逸な定義ですね(笑)yomoyomoさんはどちらを目指しているのですか?
yomoyomo まあ、ワタシの場合は「素晴らしい文章」は無理でしょうから、「良い文章」を書きたいですね。
inf. なるほどー。ではYAMDAS Projectもそのような趣旨のもと、日々作成されているわけですね。
yomoyomo 残念ながら「良い文章」に達するのもなかなか難しいですけど。
inf. うーん。でもどちらかというとyomoyomoさんは「良い」というより「素晴らしい」の方かと思いますが。
yomoyomo サイトを作り始めた頃は、「素晴らしい」を目指してました。あとできるだけ普遍的な、例えば五年後読んでも通用する文章を書きたいと思っていました。それから七年経って思うのは、僕には無理だなということです。
inf. どういうことでしょうか?
yomoyomo 一つは文才の問題です。
inf. ええー。
yomoyomo サイトを始めた頃、自分に語りたい言葉があると思っていました。「素晴らしい文章」を書きたいと本気で願っていました。しかし、最初の三年間に書いた文章は、すべて何一つ残す価値のないゴミですね。
inf. えー!?海坊主さんとの臓器移植に関する対話などは、今でも読み応えがあると思いますが。
yomoyomo 古いものを読まれていますね(笑)確かにあれは真剣にやりましたっけ。
inf. はい。……yomoyomoさんにとって「普遍的」で「文才」の感じられる文章はどのようなものでしょうか?
yomoyomo 「文才」は有無を言わせずぐいぐい読ませる力でしょうか。
inf. んー。それは説得力のことでしょうか?それともリズムのような、文体のこと?
yomoyomo どちらかといえば後者でしょうね。
inf. なるほど。
yomoyomo 一方で「普遍的」というのは、はじめから問題を正しい位置から見ていないと出せないものだと思います。ホットな話題を追うのは簡単ですが、後から再読に堪える文章は少ないものです。やっぱりそれも才能かな(笑)ワタシは多くのものを望みすぎただけなのかも。
inf. いえいえ(笑)即時的な文脈を乗り越える文章を書きたい、というわけですね?
yomoyomo その通りです。