著作権表示について―白田秀彰
※inflorescencia=inf. 白田秀彰先生=白田
日本のネット上の著作権表示について
inf. 今回先生にお伺いしたいことは、日本のネット上の著作権表示についてです。まず第一問目は「著作権表示は法に基づいて正当になされているか?」というもので・・・。
白田 だってベルヌ条約*1で著作権表示はいらないって・・・無表示が原則*2じゃない?で、アメリカもベルヌ条約に入ったから、コピーライト表示は訴訟上の一応の証拠にはなるけど、表示が無いからといってパブリックドメイン*3にはならないというのは、たぶん知ってると思うのよ。
inf. はい。
白田 だから「正当になされているか?」の、正当もへったくれもないの。
inf. あ、そうなんですけど・・・。
白田 だから「書きたきゃ書け!」っていう模様みたいなものだよね。
inf. 模様みたいなものですか(笑)でも私がお聞きしたいのはそうではなくて、逆に、例えば同人のサイトの人が"All rights reserved"とかって書いているのは・・・?
白田 分かってないんだと思う。だからさっきも言ったように、模様みたいになっちゃってるから、とりあえず何かこう・・・模様がついていれば格好良いみたいな。それで単にみんな(コピーライト表示を)載っけている。
inf. 雰囲気だけってことですか?
白田 うん、雰囲気だけだと思います。
inf. じゃあもっと言うと「違うんだよ」って教えれば、もちろん・・・。
白田 やめると思うね。だけど誰も教えてないし、あれが実質的に法的な根拠を持たなくなっちゃってるという・・・どのCD買っても"All rights reserved (c)2005"とかって書いてあるから、みんなも何か「お、じゃあ付けてやるか」って感じですよ。
inf. ああ〜。それっぽくするために付けてるんですね。
白田 そう。意味なんてわかってないよ、たぶん。
inf. じゃあ、もしそのことを教えるというか・・・広報する機関というのを作れば?
白田 教えなきゃいけないんだろうけどね。というのは、実際著作権が発生していないのに著作権表示を付けるということ自体に関して・・・やっぱりあれ、一種の「嘘」だよね。
inf. はい。
白田 なので、その辺・・・まあ、もし私が法律作る人だったら、著作権が存在しないのに著作権表示をすることに関して、一定の制裁を与えないとまずいだろうな、とは思うね。
inf. なるほど。
白田 だから昔は(コピーライト表示を)付けなきゃいけないいけないって言われてたけど、今は、こう、「表示をつけてもいいのかどうか?」っていうことを考えた方が良いような気がするんだよね。
inf. ああ!むしろそっちの方が問題なんですね!
白田 うん。そう「むしろ」ね。だって実際著作権のないものを「著作権がある」って主張することが広く行われていると・・・。
inf. そうですね。あの、googleのWEB上の図書館とかの場合*4でも、著作権が切れてるわけなのに、(権利を)主張しますよね。
白田 そうそう。
inf. うーん。なるほど。