著作権表示について―白田秀彰
※inflorescencia=inf. 白田秀彰先生=白田
制度を整えてフェアユースを確保するべきか?
inf. はー。では、テーマを変えて「制度を整えてフェアユースを確保するべきか?」
白田 これはもう絶対確保すべきだと思います!あのー。日本の情報産業がデットロック状態に陥っている大きな理由は、このフェアユースが全然無いってことで。で、フェアユースって要するにさ「たったこんだけ使ったって別にいーじゃん!」ていう・・・。
inf. あはは!
白田 すごいね、わかりやすいロジックでできてるんで。「じゃあ、ここまでなら いーじゃん!」っていうものを社会的コンセンサスとして作れると思うので、是非日本でもフェアユースを入れなきゃまずいと思います。
inf. はい。
白田 で、逆にね。フェアユースを入れることによって、権利を強化しても社会的なバランスとして統一がとれるので、あの、権利を強化したがってる人も是非フェアユースをわかってくれるといいな、という。
inf. はは!なるほど。
白田 例えばね、著作権の(保護期間を)20年間延長しましょうって話で、あんなこと言うのはとんでもないって言ってるわけだけど、仮にね「マス・アーカイブ*1を作るっていうのがフェアユースです」って言われちゃえば、何百年保護期間があってもマスアーカイブができちゃうんですよ。(参考文献: 「やっぱり保護期間延長を批判する」HotWired Japan)
inf. あ〜!そうですね。
白田 だから、権利を強化したいっていう人は、専ら金の問題のためなわけだから。で、フェアユースってご存知のように、商業的利用に関しては、ほとんど防御として効果がないんで、だからその〜「権利は強化しますよ、ただしフェアユースも入れますよ」って言うと、トータルバランスとしては変わらないんだけど、結果的にビジネスの儲けは大きくなり、社会の効用は増えるっていう・・・。
inf. 利用者も(過去の作品に)触れられるという。
白田 そうそう。だから日本の権威者が、何でフェアユースを導入するのに抵抗するのかな、と。権利強化とフェアユースの導入をセットにすれば、そんなに社会的なバランスは壊れずに、批判をかわせると思うんだけどね。
inf. うーん。何で主張しないんでしょうか?
白田 視野が狭いから。
inf. あははは!!
白田 いやこれ、ひとえに、ほんっとにね、目先のことしか考えていない人たちばっかりで、それがもう嫌になっちゃって・・・。
inf. はは!
白田 頭の良い人も、ものすごく「法ドグマ」にはまってて、一歩引いてみるっていう見方をあまりしないのか、そういうことをしないように世間がひとつの枠を作ってるような気がしてならない。
inf. ああ・・・。
白田 つまりそういうことを、僕みたいなアプローチになっちゃうと、完全に主流派から外れていくっていう雰囲気あるから・・・。うーん。
inf. うーん。・・・難しいですね。